【調査結果】「野球ファン」以外も熱狂!調査から解き明かす訪日外国人の野球観戦実態(読売ジャイアンツ×株式会社MATCHA)
2025.10.29
インバウンドマーケティング事業
活況な日本のインバウンド市場において訪日客の関心は多様化しています。有名観光地や日本の食文化への関心の高さはもちろんのこと、昨今では「スポーツ観戦」が新たな観光コンテンツとして注目されています。
その中でも日本のプロ野球においては、来場客の中にチラホラ外国人の方が見えるほど、来場者実態の中で確かな存在感を表し始めています。
これまで、球場に訪れている外国人のプロ野球観戦者が ”何をきっかけにどんな目的で球場に足を運んでいるのか” 彼らが感じている体験価値とその実態は捉えられていませんでした。
今回、読売ジャイアンツとの取り組みとして、以下2つの調査を行いました。
- 日本の球場でプロ野球を観戦したことがある外国人への「定性調査」
- 東京ドームへ野球を見に訪れている外国人に直接声をかけてヒアリングを行う「球場内調査」
2つの調査を統合的に分析した結果、外国人観戦者におけるプロ野球観戦の動機やニーズなど、これまで明らかになっていなかったインサイトが獲得できました。本コラムでは、2つの調査から見えてきた訪日外国人の具体的なインサイトについてご紹介します。
定性調査で見えてきたプロ野球観戦の体験価値

日本のプロ野球観戦経験を持つ外国人への定性調査を行う中で、彼らがスポーツの勝敗や技術に留まらない体験価値を感じていることが明らかになりました。それは「熱狂的だが秩序ある日本ならではの応援スタイル」「試合内容に留まらないエンターテインメント性」「ビールの売り子文化」といった、野球観戦を通じた日本ならではの文化体験です。これらは新鮮な驚きと高い満足感を与えており、観戦経験者の間で強く印象に残っていました。
また、今回インタビューを実施したアメリカ、台湾、韓国、の方によると、自国の野球文化と比較したときに感じる日本のプロ野球の良さが存在していました。
「アメリカ」「台湾」「韓国」の方から語られた日本のプロ野球
- アメリカ:MLBにはないエンターテインメント性
- 台湾:世界一とも言える日本の高い野球技術レベル
- 韓国:落ち着いた観戦スタイルや快適な球場環境
球場内調査で明らかになった「文化体験への期待」と「東京ドーム」の観光地ポテンシャル

東京ドームに訪れている訪日外国人を対象に、聞き取り型のアンケート調査を行いました。5日間で計223名のヒアリングをもとに、さまざまなことが明らかになりました。
まず、来場者の約25%が野球をふだん「あまり見ない」「まったく見ない」層であり、野球へのロイヤリティが高くない外国人も訪れている実態が明らかになりました。
その上で見えてきたのは、野球へのロイヤリティの高さに関わらず、日本独自の文化体験に高い期待感が持たれていたことです。話を伺えた人からは「アメリカでも、日本の野球は大きな文化だと言われている」「日本の野球文化から力を貰いに来た」など、文化という言葉で日本野球を捉えている方が多くいました。ここでいう”文化”が意味するものは「応援」「雰囲気」「食事」「清潔感」などさまざまです。彼らは野球観戦を通じて、日本独自の文化的な要素を五感を持って体験することに期待感を持っています。
「日本の野球」における捉え方や来場動機はさまざまである
- ユニフォームや球場での映え写真的なものを見て面白そうだと思ったが、野球にあまり興味はない(韓国)
- 「日本の野球が世界で一番」という話を聞いたことがある(イスラエル)
- アニメ「サムライチャンプルー」の影響で(野球が)面白そうだと思った(フランス)
また、東京ドームそのものが観光地として高いポテンシャルを持っており、多くの要素を含んだ高い評価から”旅の目的地”として選ばれていたことも印象的でした。
訪日外国人が「東京ドーム」を選ぶ理由
- ブランド力が高い(名前が有名、日本野球の王道、WBCの会場になっている、など)
- 天候に左右されない(暑さを避けられる、悪天候時でも旅行計画に影響を与えない、など)
- アクセスが良い(東京の滞在拠点から近い、駐車の必要がなくスタジアムにアクセスできる、など)
なぜ野球ファンではない訪日外国人も熱狂するのか?調査で見えた「体験価値」の正体

今回の2つの調査から見えてきたのは、日本のプロ野球観戦が、日本独自の「文化的魅力」によって「観光コンテンツ」としての大きな潜在力を秘めている、ということでした。
定性調査が示したように、訪日外国人は試合そのものだけでなく、日本独自の「文化体験」に強い体験価値を感じています。球場内調査でもその傾向は顕著でありつつ、さらに、その価値の受容性は野球のロイヤリティに関わらないということも分かり、日本のプロ野球の受け皿の大きさが伺えました。
また、東京ドームという舞台は、多くのベネフィットから「文化体験」への入口として機能しており、多くの外国人が足を運ぶ観光スポットとなっていることも明らかになりました。
訪日外国人にとって日本のプロ野球は、単なる「スポーツの場」を超えた「日本独自の文化体験の場」に進化しており、今後のインバウンド市場における潜在的な市場として大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。
<本調査について>
【定性調査】
- 調査実施時期:2025年5-6月
- 調査対象:日本でのプロ野球観戦経験がある、米国・台湾・韓国・豪州在住の外国人9名
- 調査方法:オンラインデプスインタビュー (1名あたり90分)
- 主な設問項目:訪日経般、野球観戦時の旅行計画、観戦までの意思決定プロセス、チケット入手方法、観戦動機、当日のジャーニ、総合評価
【球場内調査】
- 調査実施時期:2025年8月(5日間実施)
- 調査対象:東京ドームで野球観戦をしている訪日外国人(223名)
- 調査方法:調査員による現地での対面ヒアリング(1人あたり5分程度)
- 主な設問項目:基本属性、観戦理由、来場動機、チケット入手方法、東京ドーム・周辺環境の評価、グッズ購入実態・要望、総合評価
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