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訪日関心層を魅了する!効果的なインフルエンサー活用と地域における持続可能な集客戦略とは

2025.03.14

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2025年3月7日、株式会社MATCHAとYamaTripsが共同で「訪日関心層を魅了する!効果的なインフルエンサー活用と地域における持続可能な集客戦略とは」と題した無料オンラインセミナーを開催しました。100名以上の申し込みがあり、訪日インバウンド市場に関心のある自治体・観光関連事業者が参加しました。

セミナーの趣旨と背景

観光庁が推進する「観光立国推進基本計画(第4次)」の最終年度となる2025年。持続可能な観光地域づくりや地方を中心としたインバウンド誘客戦略が重要視されている中、地域の魅力をどのように発信し、効果的にインフルエンサーを活用するかがテーマとなりました。

本セミナーでは、

  • 唯一無二の体験を求める訪日関心層の最新トレンド
  • YamaTripsによるインフルエンサー活用事例
  • 国や自治体の予算事業を活用した施策の進め方

などを解説し、持続可能な集客戦略のヒントを提供しました。

登壇者

Tony Xia Chuan 氏(YamaTrips 創設者・ツアーガイド)

カナダ出身の中華系カナダ人、日本在住16年。ウォータールー大学卒業後、外務省の国際交流プログラムで三重県多気町に派遣され、地方活性化とインバウンド観光に従事。その後、LINE・良品計画で広報を担当し、2023年にYamaTripsを創立。サステナブルツーリズムを推進するインフルエンサー兼ツアーガイドとして、現地調査、観光コンテンツの企画・開発、プロモーション、販売、ガイド業務まで一貫して手がける。SNS総フォロワー数48万(Instagram 36万 / Facebook 12万)。フォロワーの95%が海外在住、内、25%がアメリカ在住。

https://www.instagram.com/yamatrips

秋山幸代(MATCHA プロデューサー)

日系旅行会社で訪日ツアーの企画・オペレーション、五輪事前キャンプ事務局運営に従事した後、MATCHAに入社。現在、プロデューサーとして自治体や企業のインバウンドプロモーション企画を担当。

セミナーの主な内容

1. 訪日関心層の動向

Tony氏によると、ゴールデンルート以外の日本を発信しているインフルエンサーのフォロワーのうち、97%が「2025年に日本を訪れたい」と強い関心を持っていることが分かりました。

また、アクティブなフォロワーが多い中でも、旅行中の移動手段として60%が新幹線や公共交通機関を利用すると回答。ツアーを企画する際には、現地集合・現地解散ではなく、公共交通機関の利用を意識し、アクセス情報を明確にすることが地方旅行のハードルを下げるポイントといえます。

さらに、地方旅行の理想的な日数として「2泊3日」が最も人気であることがフォロワーの回答から示されました。欧米のフォロワーが多いTony氏ですが、そういった方々はゆっくりとした旅を求めています。日帰り旅行ではなく、しっかりとその土地を知ってもらえるような訴求が重要です。

2. インフルエンサー活用の実例

Tony氏は、公務員として地方自治体での観光施策に携わった経験を持ち、インフルエンサーとしての活動においても、単なる発信だけでなく、最初から最後まで送客のサポートを行っています。

彼の強みの一つは、根強いファンとの関係性を築きながら、インスタグラムのストーリー機能を活用し、フォロワーと密なコミュニケーションを取ることです。ツアー紹介の際に「行ってみたい?」と投げかけ、双方向のやり取りを行うことで、関心を持ったフォロワーが実際の予約に繋がるケースが増えているといいます。また、フォロワーとの信頼関係があるからこそ、依頼元の事業者が抱える課題や懸念をフォロワーに直接問いかけ、得られた意見を企画に反映させることも可能です。このように、インフルエンサーを活用することで、単なる広報にとどまらず、地域の魅力を深く伝えることができます。

さらに、Tony氏はPRだけでなく、訪日客目線でのツアー企画をサポートしています。例えば、熊野古道の企画では、訪日観光客のニーズに合わせた体験型ツアーへとブラッシュアップを行い、販売導線整備にも貢献しました。特に、アンケート結果からも明らかになったように、訪日関心層の多くは日帰りの簡易な体験ではなく、じっくりと地域の魅力を味わう「2泊3日」のようなディープな旅を求めている傾向があります。そのため、ツアーの内容を見直し、平安時代の衣装を着る体験を組み込むなど、より没入感のあるプログラムに仕上げました。

このように、インフルエンサーにはコンテンツやモニターツアーの企画段階から協力いただくことで、訪日観光客にとってより魅力的なコンテンツを作り上げることが可能になります。地域の魅力を最大限に活かし、観光客のニーズに寄り添った集客戦略を実施する上で、インフルエンサーの活用は今後さらに重要になっていくでしょう。

3. 実際にインフルエンサーを活用するにあたり参加者からのQ&A

  • 海外向けのPRをしたい際に適したインフルエンサーの選び方とは?
     ー 圧倒的にPRしたいコンテンツとインフルエンサー、そしてインフルエンサーのフォロワー層との相性が重要です。 例えば、私自身の強みは「自然」「サステナブル」「アクティブな体験」ですが、これとは異なるテーマの企画や商材をPRすると、たとえ再生数が伸びたとしても予約にはつながりにくいと感じます。実際の誘客を目的とする場合、フォロワーの数よりも フォロワーの価値観とPRする内容が合っているか を重視することが重要です。
  • インフルエンサー活用事業において注意すべきポイントは?
     ー インフルエンサーを単なる発信者として使うだけでは、十分な成果が得られないことです。 依頼内容が「発信のみ」だと、コスト面で割に合わなかったり、期待した結果が得られなかったりする場合があります。そのため、 事業の企画段階からインフルエンサーやフォロワーの意見を取り入れる ことで、リーチを伸ばし、エンゲージメントを高めることができます。
     また、YamaTripsでは今年から新たな試みとして、モニターツアーの企画段階でフォロワーを招待し、直接意見を聞く取り組みも実施しています。
  • インバウンド集客を地域単位でどのようにまとめて進めるべきか?
     ー 現場の課題を理解しているかどうかが鍵となります。 自治体や観光協会は「公平に情報発信をしなければならない」という立場がありますが、その結果、誰にも刺さらないコンテンツができてしまうことも少なくありません。
     最近では、 その地域において発信したい全てのコンテンツを公平に回りながらストーリーで発信し、フォロワーの反応を確認し、反応が良いものをリール投稿で発信する という手法を取り入れています。この方法なら、発信の機会は公平に保ちつつ、実際に興味を持ってもらえるコンテンツを効果的に届けることができます。

参加者の声

参加者からは以下のようなコメントが寄せられました。

  • Tony氏の話はリアルで具体的であり、非常に説得力があった。
  • インフルエンサー活用には「相性」が重要であることがよく分かった。
  • Instagramのストーリー機能の活用方法が参考になった。
  • 観光マーケティングにおけるSNSの活用がいかに重要かを再認識した。
  • フィード投稿の重要性や、再生回数と実際の集客の違いについての説明が印象的だった。
  • モニターツアーの参加者をインフルエンサーのフォロワーにすることで、よりリアルなフィードバックが得られるというアイデアが非常に参考になった。
  • インフルエンサーを活用することで、実際に予約につながることが分かった。
  • 国立公園や伝統文化の活用についての議論が興味深かった。
  • 再度、地域ブランディングの重要性を感じた。

まとめ

本セミナーでは、訪日関心層の動向や、インフルエンサーを活用した持続可能な集客戦略について実践的な情報が提供されました。

  • 訪日観光客は地方の魅力に関心を持っている
  • インフルエンサーは発信だけでなく、ツアー企画にも関与させることでより効果を発揮する
  • 地域単位でのブランディングとターゲット設定が成功の鍵

MATCHAでは、自治体や事業者と連携しながら、海外インフルエンサーの活用も含めたインバウンド施策の戦略策定や情報発信をサポートしています。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

今後も、地域の魅力を最大限に活かしながら、持続可能な観光の発展を目指していきます。

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