【開催レポート】MラボRADIO #08「インバウンドが盛況のなか観光は本当に稼げているのか?—地方が利益を生むためのマーケティング戦略とは」
2025.03.31
Column

開催概要
2025年3月19日(水)13:00~14:00に開催されたMラボRADIOでは、「地方が稼げていない本当の理由」というテーマで、地方観光業の課題と解決策について議論が行われました。ゲストには、観光業や地域活性化に精通する永谷亜矢子氏をお招きし、地域資源の活用や観光行政の変革について具体的な事例を交えながら深掘りしました。
登壇者
- スピーカー
永谷亜矢子(立教大学経営学部客員教授 / 株式会社an 代表取締役・プロデューサー) - パーソナリティ
青木優(株式会社MATCHA 代表取締役社長)
トーク内容
都市部への観光の一極集中が進む中で、年間1,200万人もの観光客が増加している一方で、受け入れ体制は変わっていません。地方に人が行かない理由を丁寧に紐解く必要があります。
日本には空港が70もありますが、その先の2次交通が整っていない、さらには「その先に何があるのかわからない」という現状を、改善していかなければならないと感じています。
このインバウンドのチャンスを、どう活かしていくのかが重要です。
地域に根付く文化を、観光の力でどう継承していくか
観光資源として注目されている文化財など、国としてこれからも維持していきたいものについては、訪れる人からしっかりとお金をいただくべきです。「二重価格(国内と海外での価格差)」も、今後は自然なこととして受け入れていく必要があるでしょうか。
良い事例が広がることで、文化財などの継承にかかるコストを“自分たちでまかなう”という意識が生まれ、「自分たちで稼ぐ」重要性が高まるはずです。
たとえば、花火大会やお祭りなどの無形文化財も、多くは無料で開催されていますが、観覧席を有料にするなど、オペレーションを含めた設計が必要です。給料が上がらない現実や、担い手不足、何十年も協賛金が変わっていないといった課題も見えてきます。
こうした課題を広く伝えるために、青森ねぶた祭りでは100万円の観覧席を設け、メディアで話題になる仕掛けをつくりました。ポジティブな反応も多く、PRを逆算して戦略を組み立てることの重要性を感じました。
富山県で開催されている「越中八尾おわら風の盆」では、現代の“推し活”と融合し、推し活うちわ(1,000円)を展開。11の町それぞれに「推し」があり、さらに祭り全体を「ハコ推し」する形で、オリジナルのうちわを販売しました。実際、現地に来ない人も応援の気持ちで購入してくれて、在庫が残らないようマーケティングを設計して展開しました。
観光収益を伸ばすために必要なマーケティング戦略
地域のことを十分に理解しないまま動くのではなく、まずは知ること・観察することが大切です。
外から見ると「ここが魅力的なのでは?」と思える場所も、自治体の事情によって“隣の市町村や都道府県のものだから紹介できない”といった課題があります。
ですが、その地域を訪れる人にとっては、隣の地域も含めて一つの体験です。地域同士が連携することで、もっと広い視点からエリア全体を盛り上げられるのではないでしょうか。観光では、外から来るお客さんの立場に立つ視点がとても大事です。
観光資源を見つける段階から、「その地域でしか味わえない特徴は何か?」という問いについて、
少し広い視点で俯瞰し、“編集する力”が求められます。
観光行政の変革と、地域企業との協力
体験を造成する際には、ただ“見る”だけでなく、“一緒に何かをする”ような関わり方で体験価値を上げていくことが、単価を上げることにもつながります。
体験の厚みが、自然と消費にもつながっていくのです。
また、観光客は地域の人と交わりたいと感じている人が多いので、地域の人々自身がおすすめしたくなるような、巻き込む空気感をつくることも大事です。
体験の工程そのものが価値になるように見せていくこと、そして「そこでしか体験できない必然性」を持たせることが大切です。
DXやAI導入前に実施すべき観光の取り組み
AIを導入する前に、まずは観光情報サイトに正しい情報をしっかりと集約することが必要です。なぜなら、AIはネット上の情報をもとに答えを導き出すからです。
AIのみならず、Google Mapや検索で情報を探している観光客のためにも、情報の土台をきちんと整えることが先決です。
無理に最新技術を導入するのではなく、まずは足元を見つめ直し、「正確な情報を整えること」から始めて欲しいと強く思っています。
参加者の声
- 「観光業の収益向上には地域と観光客の双方のニーズを理解することが重要だと感じました。」
- 「地域資源を活用した体験型観光の必要性について、具体的な事例を聞けて非常に参考になりました。」
- 「観光行政と地域企業の協力の重要性が再認識できました。」
今回の登壇者の永谷亜矢子さんが書かれた本が販売中です。
観光に関わる皆さま、ぜひお手に取ってみてください。
観光”未”立国~ニッポンの現状~ (扶桑社新書)
日本の観光業が、その担い手たちがきちんと稼げる観光経済圏を作るには、何を知り、何をなすべきなのか。この1冊を読み終わったとき、その答えがきっと脳内に宿るはずです。

・第一章 観光業界は本当に稼げているのか
・第二章 観光行政の慣習は変わらないのか
・第三章 今すぐ取り入れるべき7つの処方箋
・第四章 誰が「真の観光立国」の担い手になるのか
終わりに
今回のMラボRADIOでは、地域資源を最大限に活用した観光業の収益向上策と、観光行政や地域企業がどのように連携すべきかについて議論されました。永谷氏の実際の事例を通じて、観光業の課題と解決策が具体的に示され、参加者にとって非常に実践的な内容となりました。
次回のMラボRADIO開催情報、過去のアーカイブはMATCHAラボ(登録無料)で視聴可能です。
https://lab.matcha-jp.com/
引き続き、地域の魅力を発信し、観光業の成長に貢献していきます。
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