【調査結果】人気観光エリア≠人気宿泊先?訪日外国人が“静けさ”を求めて選んだ東京の海辺のまちとは(東急不動産株式会社×株式会社MATCHA)
2025.04.24
Column

2025年2月、訪日外国人客数は3,258,100人を記録し、2月として過去最高を更新。春節やスノーリゾートの需要を背景に、米国や豪州を中心に訪日が活発化する中、観光客の東京滞在にも変化の兆しが見えはじめています。
東京都の最新調査(令和5年 国・地域別外国人行動特性調査)では、訪問先の上位は「渋谷」「新宿・大久保」「銀座」。SNSやガイドブックで紹介される“定番エリア”がいまだ主流です。
一方で、今回東急不動産株式会社と株式会社MATCHAが共同で行った現地ヒアリング調査では、前述の「定番」とは異なる選択をする訪日外国人のニーズが浮かび上がってきました。今回は調査から見えてきた旅行者ニーズについてご紹介します。
人気観光エリア≠人気宿泊先? 宿泊先選定では静けさと景観が重要な“決め手”に
観光でもビジネスでも、「静かに過ごせる環境」へのニーズは根強く、宿泊先を選ぶ際の決め手になっています。
「浅草はガヤガヤしていたけど、ここは落ち着いていて気に入った」
「ディナーの前に少し散策したら、リラックスできた」
特に30〜50代の比較的年齢層の高い旅行者が多く、都市滞在でも落ち着いた体験を求める層が目立ちました。観光エリアとしては、依然として「渋谷」「新宿」などが人気ですが、滞在拠点としては落ち着いた場所を好む方も多くいることがわかりました。
インバウンドは目的地ではなく、滞在拠点としての宿泊地選定
今回、ヒアリング調査を行ったのは竹芝周辺に宿泊滞在していた外国人30名。彼らの多くが、豊洲市場、渋谷、ディズニーリゾート、浅草といった観光地を回るための“ハブ(拠点)”として竹芝を選んでいました。
「渋谷とお台場の間にあって移動がしやすい」
「空港からも近いし、他の観光地にも行きやすい」
竹芝は羽田空港とのアクセスが良好で、浜松町駅からも徒歩圏内。都心と湾岸エリアを結ぶ拠点としての機能が評価されており、移動の効率性を重視する旅行者ニーズが感じられます。観光地エリアのプロモーションなどと異なり、宿泊施設のプロモーションなどでは、こうした移動の利便性などを総合的に判断している旅行者実態を踏まえて、宿泊施設自体の魅力はもちろん、周辺エリアの魅力や移動の利便性などを伝えていくことも重要になってきます。
東京ビッグサイトへのアクセス拠点として
ビジネス利用者からは、「時間がなくてあまり観光はできないけど、静かで落ち着ける場所に泊まりたい」といった声も。
竹芝はゆりかもめで東京ビッグサイトへのアクセスがしやすく、展示会や国際会議の出張者にとって便利な立地であることも選ばれる理由の一つです。
出張者の方からは、以前に宿泊して良かったからリピートしているという声もあり、出張の拠点として評価されていることを感じました。
どんな訪日客が滞在していたのか?

調査から見えた滞在者像は以下の通り:
- 30〜50代の欧米圏からの訪日者が中心
- 旅行目的は「観光」6割強、「仕事・ビジネス」3割
- カップルや家族連れ、ビジネス出張者など多様な同行形態
- 初訪問者とリピーターが半々(竹芝リピーターも)
つまり、「日本観光に慣れ、自分に合う場所を選ぶ旅慣れた層」が、竹芝に価値を見出している様子がうかがえます。
クルーズ体験は“未開拓の魅力”
竹芝といえば海に面した立地を活かしたクルージング体験が魅力ですが、現時点での認知率は、3-4人に1人が「知っている」と答える程度。
しかし、案内をきっかけに「興味がある」「明日乗ってみたい」といった声が多く聞かれ、潜在的な需要は十分に感じられました。
まとめ “静かな東京”を求める外国人旅行者たち
訪問先の人気はにぎやかな「渋谷」「新宿」に集中しているものの、今回の調査を通じて見えてきたのは、宿泊地には“にぎやかではない東京”を求める訪日客の存在です。
竹芝は、「アクセスが良い」「静かで落ち着いている」「景色が美しい」という複数の要素が重なる、“都市型の隠れたリラックス拠点”。
こうした複合的な要素を、彼らのニーズに合った情報発信や体験設計によって、“もう一つの東京の選択肢”としての地位を築いていくことが求められそうです。
<本調査について>
- 調査実施時期: 2025年3月
- 調査対象: 竹芝エリアに滞在中の訪日外国人(30名)
- 調査方法: 調査員による現地での対面ヒアリング(1人あたり5分程度)
- 主な調査場所: 竹芝エリアの宿泊施設(2箇所)
- 主な設問項目: 滞在目的、竹芝エリアを選んだ理由、エリアの印象、余暇の過ごし方、情報収集経路など
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