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【イベント開催レポート】訪日客に届く情報発信とは?SNS×ChatGPTで学ぶインバウンド実践セミナー

2025.04.30

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主催:YamaTrips × MATCHA
日時:2025年4月21日(月)13:30~16:30
場所:SHIBUYA QWS

「SNSでの発信がうまくいかない」「インバウンド向けの的確な情報発信施策がわからない」──

そんな課題を感じている観光事業者に向けて、“訪日客に本当に届く情報発信”を学ぶリアルセミナーを株式会社MATCHAと海外向けインフルエンサーとしても活躍するYamaTripsと共に開催しました。

ChatGPTとSNSを活用しながら、海外の視点で地域の魅力をどう伝えるか? 参加者30名満員御礼で開催された本イベントの様子をレポートします。


登壇者:
Tony Xia Chuan 氏(YamaTrips 創設者・ツアーガイド)

中国出身の中華系カナダ人。日本在住16年。 ウォータールー大学卒業後、外務省の国際交流プログラムで三重県多気町に派遣され、地方活性化とインバウンド観光に従事。その後、LINE・良品計画で広報を担当し、2023年にYamaTripsを創立。サステナブルツーリズムを推進するインフルエンサー兼ツアーガイドとして、現地調査、観光コンテンツの企画・開発、プロモーション、販売、ガイド業務まで一貫して手がける。
SNS総フォロワー数48万(Instagram 36万 / Facebook 12万)。 フォロワーの95%が海外在住、内、25%がアメリカ在住。
Instagram:https://www.instagram.com/yamatrips/

秋山幸代(MATCHA プロデューサー)
日系旅行会社で訪日ツアーの企画・オペレーション、五輪事前キャンプ事務局運営に従事した後、MATCHAに入社。現在、プロデューサーとして自治体や企業のインバウンドプロモーション企画を担当。

トークセッション|インバウンドの最新トレンド

インバウンド市場と日々向き合うMATCHAが、最新の市場動向とそこに見える可能性、そしてニーズについて解説しました。過去最速で訪日客数が伸びる中で、私たちが現場で感じている課題や壁にも触れました。

また、MATCHAやYamaTripsが実際に取り組んだ施策の事例もご紹介しました。

YamaTripsからは、訪日客の間で認知度が高い「神戸牛」と、あまり知られていない「松阪牛」の違いに着目し、松阪牛の魅力をどう伝えるか──というテーマで、その背景にあるストーリーや伝え方の工夫について丁寧に紐解いていただきました。

ワークショップ1|訪日客に“購買”を促すストーリーテリング

今回のワークショップでは、訪日客の心を動かす「ストーリー」とは何か?をテーマに、参加者の皆さんと一緒に考えを深めました。

印象的だったのは、Tonyさんが紹介してくれた「100ドルの醤油」のエピソード。

友人がその高価な醤油を購入していたことに驚いたそうですが、その背景には、商品が生まれるまでの努力や想いが伝わる発信があったといいます。

この事例をヒントに、ワークでは「応援したくなる」「誰かに教えたくなる」ような発信アイデアを考える時間を設けました。

今回は渋谷が会場ということもあり、“渋谷に宿坊体験ができるカフェができたら?”という仮の設定でアイデアを出し合いました。

たとえば、

・ネットがつながらないカフェにして、その不便さをあえて“売り”にする
・精進料理のフリーズドライ化
・お坊さんに人生相談ができるコンセプト
など、ユニークな発想が次々に飛び出し、会場は盛り上がりました。

日々SNSで発信を続けているTonyさんからも、「ここでしか体験できない価値がしっかり伝わっていて面白い!」とコメントをいただき、実際の投稿で活かせる視点についてフィードバックをもらう機会にもなりました。

ワークショップ2|「SNS×インバウンド×ChatGPT 実際の訪問に繋がる発信とは?」

「実際に送客にまでつながる発信とは何か?」その問いに対してTonyさんが特に強調していたのは、“アクセス情報を丁寧に伝えること”の重要性です。訪日客にとって、目的地までの行き方が明確にイメージできるかどうかは、行動に至るまでのハードルを大きく左右します。

このアクセス情報をわかりやすく伝えるために有効なのが、ChatGPTを活用した発信スクリプトの作成です。特にJR PASSなど訪日客が実際によく使う交通手段を前提に、どのようにアクセスすれば良いかを整理することで、訪日客視点に立った実用的な情報を届けることができます。

ワークショップでは、参加者の一人が住む山形県酒田市にある施設を例に、ChatGPTにアクセス情報を入力しながら、SNS向けの発信スクリプトを作成してみました。

この時のポイントとして、「訪れてみたくなる要素」を加えることの大切さも話題に。たとえば、道中で見られる美しい景色や、現地の人しか知らない小さな魅力など、情報に“物語性”を加えることで、より心に響く発信につながります。

ChatGPTは、発信の“0→1”を担う心強いパートナー。そこに現地ならではの視点や体験を掛け合わせることで、よりリアルで魅力的なストーリーに仕上げることができる。
そんな可能性を実感する時間となりました。

ネットワーキングセッション|地域も業種も越えて、“共感”でつながる交流の時間

最後のネットワーキングでは、観光協会・自治体・旅行会社・フリーランスなど、業種も地域も多様な参加者が集まり、それぞれの立場から「インバウンド向けの情報発信のリアル」について自由に語り合いました。

地方自治体の担当者からはインバウンドへの訴求の仕方に関する悩みや工夫、旅行会社や観光系スタートアップの方々からは、どんなコラボレーションができるかなど実践的な視点が交差する場に。

若手起業家、マーケティング関係者など、国内外の多様な視点も加わり、世代や地域を越えたディスカッションが自然と広がりました。

「地域の魅力をどう翻訳するか」 「何を“ここだけの価値”として切り取るか」そんな問いが、あちこちで交わされていたのが印象的でした。

立場は違っても、“地域の想いをどう届けるか”という共通のテーマでつながる場。
リアルな出会いが、次のプロジェクトやコラボレーションのきっかけになる、そんな熱量が、確かに生まれました。

参加者の声(一部抜粋)

  • 「アクセスは当たり前だけど訪日客にとって必要な情報であるということがすごく心に残りました。自分のイベントでも気をつけようと思えた」
  • 「生成AIを活用することで、新しい発見があった」
  • 「多様な立場の人が集まっていて、学びが深まった」
  • 「Tonyさんが“実際に足を運ぶこと”を大事にしている姿勢に共感した」

登壇者Tony氏からの声
インバウンドは、日本文化の本質や本当に価値あるものを再発見する絶好のチャンス。収益と誇りを両立できるこのフィールドで、今動くかどうかが、10年後の景色を大きく変えると感じています。僕自身も、現場に立ちながら一歩ずつ動き続けます。あなたはどう動きますか?

まとめ|届く発信は「共感」から

情報を届けるための手段は増えていますが、「誰に、どんな思いで届けたいか」が見えなければ、発信は“伝わりません”。
今回のセミナーでは、実践的なツールの活用と、発信者の在り方を同時にお伝えしました。

リアル開催だからこそ生まれた出会いや気づきが、参加者一人ひとりの次のアクションにつながっていくことを願っています。

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