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【開催レポート】MラボRADIO#11“富裕層から団体旅行まで。1,000人を案内したガイドが語る“インバウンドの本当のニーズ”

2025.05.22

Column

2025年5月15日、MラボRADIO第11回では、ツアーガイド兼俳優として活躍するジュピター石田さんをお迎えし、ガイドとしての豊富な実体験から、インバウンドの“本当のニーズ”について語っていただきました。政府関係者や企業経営者の一族など、これまで1,000人以上の訪日客を案内してきた石田さん。ラグジュアリーから団体旅行まで幅広く携わる立場だからこそ見える、現場視点のリアルが次々と飛び出しました。

◾️登壇者
スピーカー
ー ジュピター石田(ツアーガイド/俳優)
政府関係者、世界的企業の経営者一族、映画監督など、1,000人以上の訪日ゲストをガイド。英語・スペイン語を駆使して、日本の文化・風景・人を案内する現場のプロフェッショナル。SNSや動画を通じた情報発信にも精力的で、Instagramフォロワーは2万人以上。
https://www.instagram.com/jupiterishida/

パーソナリティ
西田早織(株式会社MATCHA 広報)

トーク内容

「日本人のふつう」が訪日客にとっての“特別な体験”に

「特別な体験を提供しなきゃ」と思いがちなインバウンド対応。でも実際に喜ばれるのは、安い居酒屋での食事や交流など、“観光地ではない日常の風景”であることが多いと石田さんは語ります。
訪日客にとって「外国人客がいない日本人だけの店で過ごす時間」や「静かな街を散歩すること」こそが新鮮でユニークな体験になることも。
「地域の“当たり前”が価値になる」という視点は、多くの共感を呼びました。

“英語対応”よりも大切なのは、「安心して選べること」

訪日客の満足度を左右する要素として、石田さんが強調したのは「言葉が通じるか」ではなく、「ちゃんと選べるかどうか」という安心感。
例えば、宗教や思想による制限(ハラル、ベジタリアン、ビーガンなど)に対応しているかが重要ですが、店員の理解不足や情報の欠如が原因で「何が食べられるかわからない」という不安が多く発生しているそうです。
安心して選べるメニューや明確な表示があれば、言葉が完璧に通じなくても満足度の高い体験になるという事例が数多く紹介されました。

“完璧を目指さない”ガイドの姿勢が、信頼を生む

「ガイドはトラブルがつきものの仕事」と石田さんは語ります。その中で大切にしているのが、「完璧を目指さず、70点でいい」と割り切ること。
“100点を目指そう”とすると、想定外の出来事やハプニングに対処できず、かえって不安や余裕のなさが相手にも伝わってしまいます。だからこそ、“70点”くらいの気持ちで柔軟に構え、何か起きた時に“その場で150%の対応をする”こと。このメリハリのあるスタンスこそが、結果的に信頼を生み、リピーターを増やす鍵になるといいます。
「大切なのは、完璧に進行することではなく、“この人なら大丈夫”と思ってもらえる安心感を届けること」。そんな石田さんの姿勢に、多くの参加者が深く頷いていました。

“価格”よりも、“信頼”と“余白”が決め手に

富裕層の旅行=高級宿や高級体験、というイメージは根強いものの、実際のニーズはもっと多様だと石田さんは語ります。
お金をかけたラグジュアリーよりも、信頼できるガイドのおすすめや、急かされずに過ごせる“ゆとりある時間”に価値を感じる傾向があるといいます。
また、日本にあこがれ、何年もかけて貯金して訪れる中間層や若者も多く存在しており、“インバウンド=お金持ち”という一面的な見方ではなく、「訪れてくれるすべての人に敬意を持って接すること」が大切だと語られました。

一番記憶に残るのは“人の温かさ”

多くの訪日客が日本で最も感動するのは、観光地や料理ではなく「人のやさしさ」だと石田さんは断言します。道に迷っていたら英語が話せなくても親切に助けてくれた、駅で困っていたら知らない人が翻訳できる人を探してくれた、そうした小さな心遣いこそが、旅の印象を大きく左右するのだといいます。

参加者からの声

  • 今日のMラボRADIOは「神回」だった。富裕層からそうでない方まで、リアルな声が聞けたのが良かった。
  • 笑顔と“最初の印象”の大切さに納得。150%で迎える姿勢を真似したい。
  • 「70点でいい、起きたら150点で対応する」という言葉が心に刺さった。
  • 普段の暮らしがユニークになる視点にハッとさせられた。
  • 富裕層は急かされるのが苦手という話に目からウロコ。地域でもできるヒントが多かった。
  • 茶道体験や日本酒の人気、日常の道すらも価値になる──現場の声に説得力があった。
  • 「富裕層であれ、そうでなかれ、日本にはるばる来てくれている人たちでいることを忘れてはいけない。」この言葉が一番心に残った。

おわりに

“旅行者の心に残る体験”とは、特別なアクティビティでも豪華な演出でもないのかもしれません。
日本人のふだんの優しさや日常風景こそが、かけがえのない思い出になる。
ジュピター石田さんの言葉は、観光業に関わるすべての人に、自分たちがすでに持っている価値を思い出させてくれるものでした。

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https://lab.matcha-jp.com/

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