COLUMN

【2025年】第30回タイ国際旅行博(TITF#30)参加レポート:インバウンド市場の可能性と学び

2025.01.20

Column

TITF(Thailand International Travel Fair)への参加を目的に、私(COOの齋藤)がタイ・バンコクを訪問し、現地の様子をレポートしました。

今回の訪問では、タイ現地の旅行会社とのネットワーク構築や、旅行業界の最新事情やトレンドの把握を主な目的としています。また、私自身にとっては2013年以来12年ぶりのタイ訪問となり、この間の変化や新たに感じたことについても、現地での体験を交えてお伝えしていきます。

TITFとは?

TITFは、毎年1月頃にタイ・バンコクで開催される国際旅行フェアです。2025年の第30回目は、1月16日から19日の4日間にわたり開催されました。(なお、1月15日にはBtoB向けの商談会が実施されていました。)

このイベントの特徴は、主に一般の旅行者向けに企画ツアーや航空券などの旅行商品をその場で販売する即売会であることです。出展ブースには、中国・香港・マカオなど、タイ人に人気の渡航先が国単位で参加しており、加えてタイ国内の旅行会社が国内外の旅行商品を販売しています。

特に日本関連のブースが集まる「Japan Zone」は、広大なエリアを占め、日本市場に関心のあるタイ人旅行者をターゲットとした自治体や企業が多数出展しています。

なお、一般参加者としての入場は無料で、事前予約や登録も不要です。(公式HPがかなり頼りないのですが、タイでは企業やイベントの公式HPをあまり作り込まず、SNS(特にFacebookやLINE)で情報を発信するのが一般的だそうです。)

タイの観光データ

そもそもタイの人口は約7,200万人(2023年時点)

日本政府観光局(JNTO)によると、2024年のタイからの訪日外客数(推定値)は前年比15%増の114万8,900人。一方、日本からタイへの入国者数は前年比30%増の105万904人と増加はしているものの、円安の影響もあり、訪日タイ人の数がタイへ訪れる日本人を上回りました。筆者が前回訪れた2013年頃は1バーツ=約3円でしたが、今は1バーツ=約5円。物価も日本と変わらない(むしろ高く感じる)ほどになっており、タイの経済成長を実感しました。

2019年のタイのGDPのうち、約20%が観光業によるもので、観光が経済の重要な柱となっています。一方、日本の観光業のGDP比率は2022年時点で約3.6%と、タイに比べるとまだ低い水準です。しかし、日本では訪日外国人の増加と1人あたりの消費額の伸びが続いており、タイにとってもライバルになってきていると言えそうです。

観光においては、日本よりも進んでいる側面が多いタイ。今回はそんなタイで新しい気づきをたくさん吸収できました。


会場の様子

会場は、クイーン・シリキット国際会議場。モダンで綺麗で、その名の通りとても荘厳な建物でした。

5-6番会場で行われ、広さ的には東京ビックサイトで開催されるツーリズムEXPOの半分くらいかな?という印象でした。 地下鉄の駅直結でアクセスもしやすく、中にはコンビニやフードコート、カフェの数がとても豊富で、朝早くからやっているので食事には全く困りませんでした。

旅行商品の売られ方が特徴的!

最初に驚いたのは、天井まで高々と張り巡らされたツアー情報。正直、見づらいのでは?と思ってしまいましたが、こうしたブースの作り方にも国民性の違いを感じました。

また、ツアーの売られ方も、どれも似たり寄ったりの白黒チラシが大量に並べられているスタイル。会社ごとの違いや地域の特性がほとんど語られず、「どこで差別化しているんだろう?」と疑問に思いました。

企画会社と販売会社が異なるケースもあるため、全く同じ内容のチラシなのに、別会社が販売していることも。

ただ、それでもその場で話を聞き、予約や購入している人がいました。少し話を聞いてみると、値段勝負のこともあるけれど、旅行会社ごとに「私たちは南のエリアのお客さん」「北のエリアのお客さん」といった形でターゲットが分かれていることが分かりました。まるで町の不動産屋さんという感じですね。

メインステージでは、パフォーマンスも行われていました。

Japan Zoneの様子

Japan Zoneを歩いてみると、オーソドックスでシンプルな作りが多いように感じられました。法被を着ていたり、ご当地ゆるキャラが来ていたり、皆さんブースの前で積極的にアピールされていました。

SNSフォローキャンペーンや、クーポンを配っているブースに人が集まっていて、タイの旅行客にはインセンティブを用意する施策が有効そうです。

JNTOのブースには多くの人が情報を取りに来ていた印象です。ブックオフさんは、ショーケースを展示して本ではなく服やセカンダリーのブランド品などをアピールされていました。

私の地元の仙台からむすび丸も来ていました!

頑張れ!むすび丸!

会場内のフードコート(タイ屋台やマッサージブースも)

会場内には、昼食が買える屋台がずらり。展示会スペースによくもここまでローカル感ある屋台を作れるなと感動しました。また、タイマッサージブースもあったり、民族衣装のコーナーがあったり、タイの雰囲気を楽しめるようになっています。

一生懸命に話を聞いてくれるタイの旅行会社

今回は、事前に現地在住のタイ人の知人に通訳をお願いし、すべてのタイの旅行会社に挨拶回りをしました。とはいえ、MATCHAの営業として話をする中で、どこまで関心を持ってもらえるのか未知数だったのですが、実際に回ってみると、どの旅行会社の方もとても真剣に話を聞いてくれ、質問をしてくれたり、連携のアイデアを提案してくれたりしました。

仕事を楽しんでいる人が多い印象で、皆さんが生き生きと働いている様子が伝わってきました。その姿勢に刺激を受けると同時に、タイの旅行会社とのコミュニケーションがとても楽しい時間になりました。

タイでは、名刺交換はあまり主流ではなく、LINEを交換したりすることになるのも特徴的でした。

現在、タイで最も人気のある海外旅行先は中国だそうです。また、プライベートツアーの需要が高まっているという話も聞きました。こうした一次情報を直接得ることができる機会は貴重で、MATCHAの事業にも活かせる学びがたくさんありました。

土日は一般の来場者が多く、旅行会社の方々も忙しいだろうと考え、平日に挨拶回りを集中的に行ったおかげで、約40社の旅行会社と話をすることができました。これは大きな成果だったと思います。

逆に言えば、Japan Zoneで待っているだけではもったいないと感じました。タイの旅行会社に積極的に声を掛け、自分たちのことをアピールし、キーマンと繋がることで、一緒に販売できる商品を作る話に発展する可能性もあります。そうした動きが、長期的には観光消費額の増加につながるのではないかと改めて実感しました。


大活躍のMCMユーザーである山梨県北杜市の皆さま!

Japan Zoneに出展していた山梨県北杜市の皆さんは、MCMを活用しながら、タイ市場向けに精力的な情報発信をされています。北杜市に在住して観光PRを行うスター的存在であるタイ人のビウさんを中心に、現地の旅行者に向けたプロモーションを積極的に展開しており、その中でMATCHAのサービスであるMATCHA Contents Manager(MCM)も活用していただいています。

事例記事:富士山への訪日客呼び込め タイ人と2人3脚で地域の魅力を多言語発信|山梨県北杜市

MCMで作った記事は、MATCHAだけではなくPDFやチラシにも活用できます。

北杜市のブースでは、MCMで作成した記事をチラシ化し、現地で配布。また、タイの旅行会社と連携し、ツアーを造成しながら、ブースではその案内を行い、購入は旅行会社ブースへ流すという購入導線を作っていました。多くのブースがPRにとどまる中、しっかりと購入に繋げる動線を作っていたのは素晴らしいと感じました。

TITFは旅行商品の即売会なので、商品として実際に販売できることが非常に重要です。旅行者が「ここに行ってみたい!」と思った瞬間に、スムーズに予約や購入へ繋げられる仕組みが必要で、北杜市のブースはまさにそれを実現していました。

こうした取り組みを見て、プライベートツアーを企画できる旅行会社との連携や、即売を意識したプロモーションをもっと強化していく必要があると感じました。

大活躍のビウさんと

準備から販促、現地での購入導線まで、すべて自前で整えていた北杜市の皆さんの行動力と実践力には、とてもパワーをいただきました!

参加して良かったこと・学び

今回、初めてのTITF参加を通じて、多くの学びがありました。今後参加を検討される方の参考になればと思い、ポイントを整理しました。

1. 効率的に情報収集・商談を進めるための工夫

📌 通訳を依頼するとスムーズに商談が進む
→ 現地在住のタイ人の知人に通訳をお願いしたことで、1日で約40社の旅行会社とスムーズに挨拶・商談ができました。

📌 印刷物は現地で準備可能
→ LCC利用のため荷物を最小限に抑え、チラシは現地で印刷。150枚で1,200バーツほどで対応でき、特に問題はありませんでした。

📌 一般参加で旅行会社と繋がるなら平日が理想
→ 土日は一般客が多く、挨拶どころではなくなってしまうため、旅行会社との関係構築を目的とするなら、落ち着いて話せる平日に訪問するのがベスト。

2. 旅行会社との関係を深めるために大切な視点

📌 待つのではなく、積極的なアプローチが鍵
→ タイの旅行会社に直接話を聞きに行くことで、日本が他の国と比べてどのように人気があるのか、どのような形で売られているのかをリアルに知ることができました。ブースで待つだけでなく、こちらからアプローチすることで、プライベートツアー企画の可能性が広がりました。

📌 MATCHAの情報が旅行会社にも役立っていると実感
→ 旅行会社の方々も情報収集にはMATCHAのようなWebメディアを活用しており、ヒアリングを通じて、彼らがどのような情報を求めているのかを具体的に把握することができました。

3. PRから販売へ繋げるための施策

📌 PRだけでなく、購入導線をしっかり設計する
→ TITFは即売会であるため、単なるPRではもったいない。事前に旅行会社とツアーを組んだり、現地で予約ができる仕組みを整えることで、より実際の販売に繋げることができると感じました。

📌 タイ市場向けのプロモーションはSNSが主流
→ LINEやFacebook、動画コンテンツなど、SNSを中心としたプロモーションが効果的だと実感。タイ市場を意識するなら、デジタル発信の強化が不可欠。

TITFは一般客向けの即売会である一方、旅行会社とのネットワークを深める場としても大きな可能性を持っています。今回の経験を踏まえ、今後はTITFに限らず、世界各国の旅行博への参加も視野に入れ、より戦略的なアプローチを検討していきたいと思います。

まとめ

今回のTITF参加を通じて、タイの旅行市場の現状と日本の人気度合いやPRの課題がよくわかりました。また、MCMの新しい利用方法も知ることができてよかったです。

多くのブースがPRにとどまる中、北杜市さんのように「現地旅行会社とのコラボで即売を実現」するアプローチは、MATCHAのサービスとも親和性が高いと感じました。

今後は、MCMを活用していただいている方が、タイ市場向けにより実践的なアピールをできるようにサービスをさらによくしていきたいと思います。タイ向けにプロモーションをお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ

CONTACT US CONTACT US

MATCHAへのお問い合わせ、
サービスに関する資料請求はこちらから

MATCHA週間
インバウンドニュース
メルマガ登録フォーム

インバウンドに取り組む事業者、関心層が5,000人以上購読!
インバウンドに関するニュースを
毎週わかりやすくお届けします。